台湾 / 中国茶会 第七歩

今回は黒茶を飲む。

①小青柑(広東省)
まだ青い蜜柑の実を取り出して、中にプーアール茶を詰めたもの。ほのかな爽やかさ。
雲南のプーアールだけが黒茶ではない。今回は生・熟の六方茶を飲み比べ。

②2011 布朗山握茶(生)(雲南省)
円盤状ではなく平べったい長方形に蒸し固められている。餅茶より“普段飲み”の存在。
他にもお椀、きのこ、正方形、れんが、竹の中に詰めて…などさまざまな形に仕上げられる。

青殺の温度が低いため、完全に酵素の働きが止まるわけではなく、ゆるやかに働き続けるのが特徴。
揉捻後、日干しでゆっくりと乾燥させる間にも茶葉は変化し続ける。

チベットの人々にとっては肉類やアルコールの消化を促進するために必要な“生きるための”お茶。


まだまだ青みが強く、口当たりも尖っているのでなるべく円やかになるよう低めの温度で淹れていく。
刺激を吸収してくれるように茶壷も素焼きのものを使う。(たいへん参考になるポイント)

削り取った茶葉はぎゅっと固まっているので味が出るまでには4、5煎ぐらいかかる。

先生曰くお茶の“気”が強い。目元や後頭部、人によっては胃にきそうな感じ。私はぱっと目の辺りが冴えた。草原のような青い、青くさい香り。
煎を重ねると竹っぽい、より硬質な雰囲気が出てくる。

②2010 西双版納古樹餅茶(熟)(雲南省)
これは相当個性的な茶。茶葉の香りを嗅ぐとどことなくラプサン臭。檳榔のようなスモーキーさも。
やはり松で燻すお茶だそうです。

このお茶は東南アジアに行くお茶。湿気を取って身体を温めてくれるので好まれているそう。
中国の人はあまりプーアールは飲まないらしいです。購入するのは専ら投資目的!

1煎目すごい、出汁!これはお茶?という感じ。
気持ちは一瞬で実家のお台所に。
あまりの衝撃に、これで茶粥にしたら美味しそうだね!と場が盛り上がる。

3煎目ぐらいから徐々に出汁感が薄れ、茶葉自体の味が出てきた。渋味、酸味、飲み込んだ後の口内の清涼感。なんと表情豊か。身体に沁み入るような深い円やかさ。(しかし玄人向けであることは間違いない)

蕎麦ほうると栗の生落雁
素材そのものの持つ甘さ、香ばしさが滋味深いプーアールにあう

④2022 野生六歩茶(広西梧省)
熟プーアールの誕生は1970〜80年台 かなり新しいお茶
プーアール茶の人気の高まりを受け、より早く大量に生産する必要が出てくる
年月を経た生茶のような味わいを作り出す為に、茶葉に水をかけて高温多湿状態におく

板栗香ってやつかな、米や餅のような炭水化物・穀物系の甘い香り。円やかで美味しそう。
味に速度があるならゆっくりしている。飲んでいて全く疲れないしとても好みで、心身ともに脱力。
4煎目からは穴を開けた棗を一緒に抽出。

⑤1998 老六 茶(広西梧州)
大方のプーアールとは違った紅く美しい水色なのだけど、味の印象は何とも言えない。香りと同じ味。結構アグレッシブなえぐみ、奥に埋もれたスモーキーさ。
2煎目で一気に癖が抜けるのだけど、5煎目で最初の味が急に戻ってくるという不思議なお茶。飲む側が振り回される。
プーアールって段々風味が一体となって馴染んでくる印象があったので、こういうお茶は新鮮。
25年ものでこのやんちゃさとは。

柚子の軽羹
プーアールの余韻と合わさって生まれる味

皆で同じお茶を飲み、感じたことを伝え合うという楽しさもありながら、同時に自分と向き合っている時間でもあった。

作成者: sumi

趣味は料理の本を眺めることです

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