かねてより田中博子さんの“パウンドケーキの本“、“ジャムの本“を愛読していて、丸の内の一保堂でくき煎茶に合わせて(!)ラミントンが提供されていたときは食べに行ったりもした。
ただ普段は長崎県の佐世保にあるアトリエを拠点にお菓子の販売・レッスンをされている方なのでなかなかご本人、そのお菓子ともにお目にかかる機会はない。
時々お菓子の通販もされているのだけど即ソールドアウト尚且つ北海道まで送料2400円とか…まあ端っこと端っこなのでしょうがないですね。
今回阪神梅田でレッスンが行われる日程が自分の京都滞在と被ったので行ってみることに。
内容はバタークリームケーキと柑橘ピールで私には難易度高いんですけどせっかくの機会なので。
ケーキ台を回しながら22センチのジェノワーズに素早くバタークリームをナッペ、側面と円の周縁に立体的な模様をつけてさらにCやS、Xを描いて優雅なデコレーションを施していく様子をうっとりと眺める。
これだけでもクラシカルで十分素敵ですが、さらに宝石のような果物の砂糖漬け、手作りの柑橘ピールを飾り付け。
たっぷり空気を抱え込んだ口溶けの良いバタークリームに卵のふんわりした甘さ漂うジェノワーズ。
生地とクリームのバランスが絶妙で洗練された仕上がり。
一口目にインパクトがあるのではなく、食べ進めるうちに身に沁みる穏やかな美味しさ。
(フランス人のお友達には“博子のお菓子は美味しいけど、全部有塩バターで作りたい“と言われるそうです!?)
そしてあしらったピエトロ・ロマネンゴのフルッタ・カンディータ、これがすごく力強い。
このケーキの主役、ジェノワーズとバタークリームに勝るとも劣らない存在感。
実際ケーキを食べると“フルーツケーキ”という印象になるぐらいなので。(下地のバタークリームが杏ペースト入りのものだということもありますが)
果物に小さな穴を開けて、6時間ごとに濃度の違う砂糖水につけるのを1週間続けて作られるらしい。
外側は砂糖水でグラッセされてきらきらと光を受けて輝き、カットすると断面は透き通っている。
生の果実よりも遥かに美しく凝縮された味わい。
それにしても田中博子さんが作られるお菓子はどちらかというと飾り気のないものが多いように見受けられるのだけど、バタークリームケーキに限っては何故こんなに飾り立てるのか?とある人に質問を受けたそうですが、答えはいたって単純、扱いやすいから。
いじりすぎても生クリームのようにぼそぼそになったりしないし、細い口金で絞っても繊細に仕上がる。
となると複雑なデコレーションをしたくなるとのこと。
扱いやすいのみならず日持ちがするのもバタークリームの良いところ。
ケーキをゆっくり楽しむために、加えるのはローストしたナッツやドライフルーツなど水分の出ないものを選ぶのがポイント。
色々とお話を聞いて、美味しいことは知っていたけれどバタークリームに対する印象が少し変わりました。
コーヒーや杏ペーストを混ぜてもいいし、自由度が高い。

大阪のどこそこのおじさんがやってる砂糖専門店の話で盛り上がっているテーブルがあったりと和気藹々とした雰囲気で楽しかった。
やはり関西人は誰にでも気安く話しかけていいな。関東や北海道の集まりじゃこうはいかないもんなー
レッスンの途中で部屋の外から大音量で六甲おろしが聞こえてきたのはかなりウケたけど、どうやら誰も気にしていない様子。その後3回ぐらい流れていたので、阪神では定期的に店内放送しているんだろうな。
念願の田中博子さんのお菓子がまた頂けてラッキーでした。
作り方まで伺ったけど、はたしてこれは復習できるのでしょうか。
とりあえず気軽にできる柑橘ピールから。

思わずこちらにコメント!
バタークリームのケーキ大好きなので、
ほうほう、、、と文章読んでしまいました♪
水分の多い飾りは確かに無いなー、とか!
それにしても1ピースのケーキをみるだけでも精巧なお造りで美しい!!
今日はバタークリームのケーキ買って帰ろうかな、、、^_^
都内ならウエストか、コロンバンとかかな、
さおりさん、当ブログに初のコメントありがとうございます!!
そう、すべてが計算されていてため息ものの美しいケーキでした…
ウエストはバタークリームのイメージ強いですね!クリスマスバージョンのケーキが毎年可愛くていいな〜と思ってました。
でも実際一番食べてたのは多分マッターホーンです。笑