レモンマドレーヌ

家に人を招く、というのは私の長年の憧れである。
おそらくそれは『赤毛のアン』に起因すると思われる。

新しく村に赴任したアラン牧師夫妻をお茶に招くことになり、アンが張り切るというエピソード。あれはひどい失敗を引き起こすけれども、夫妻のために時間をかけて用意されたマリラのケーキ類や、テーブルを飾るためにアンが摘んできた花々は強く印象に残っている。

またのちのエピソードで、マリラが外出する日にダイアナをお茶に呼ぶ許可を得て、アンは大はしゃぎする。
二番目に良い服を着てやってきたダイアナとアンは、気取った言葉を使ってお淑やかに振る舞ってみたりする。
人を”お茶に招く”というのは大人がすることで、二人のような小さな女の子にとっては背伸びした気分になれる時間だったのである。その楽しそうな様子もまた子供の私には印象的だったのでしょう。

そういうわけで、実家に人を呼ぶという経験は(両親が社交的ではなかったため)ほとんど無かったものの、人を招くということに憧憬するようになってしまった。

さて、我が家の近所の盆踊りに付き合ってくれた友人に家に寄ってもらった。大きなポットが無いのでWMFの片手鍋でお茶を淹れるなんて有様である。アールグレイ ブルーバード。
お茶菓子に内田真美さんのレシピのレモンマドレーヌ。家庭の素朴な安心感のある味。

いや〜家に人を呼ぶのは良いものだ、もう少しお茶セットを揃えようか、と主人は言っていた。
とても楽しかった、来てくれてありがとうね!

作成者: sumi

趣味は料理の本を眺めることです

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