シナモンシュガートースト

こういうのが食べたかった。でも、もっと良いやり方がありそうな気がする。

ついこの間まで住んでいた街の純然たる珈琲屋さんのメニューに載っていたシナモントースト、気になりつつも結局食べてない。それは角切りにしたトーストにゆるく泡立てた生クリームとシナモンがかかっていた。結構不思議なビジュアルだ。

等しく九つににカットされた食パンを見ると子供の頃を思い出す。私の母は朝は掃除に忙しく、まともな朝食を作ってもらった記憶はあまり多くはないが、数少ないそのレパートリーの一つがフレンチトーストだった。
私はもちろんそれが大好きで休みの日にはよくリクエストして作ってもらっていたのだけど、母は食パンを必ずカットしてから卵液に浸していた。食べやすさを考てやっていたのだと思うけど、フレンチトーストはそのようにして作るものなのだと私は長い間思い込んでいた。
大学に入って一人で暮らし始め、初めて自分でフレンチトーストを作ったときも当然パンを切ってから作った。
実家では料理なんて何一つやったことがなかった私はあんな簡単なものでさえ自分で作れるのが子供みたいに嬉しくて、毎週毎週土曜日の朝はフレンチトーストを作って食べた。
(もちろん甘党の母に倣って、ふっかりと焼けたフレンチトーストに蜂蜜を山ほどかけ、さらにその上からじゃりじゃりとグラニュー糖をかける)

時を経て、私は一枚の食パンを丸のままフレンチトーストにするようになっていたけれど、いつ頃からなのか。それが思い出せない。

作成者: sumi

趣味は料理の本を眺めることです

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